後遺障害でお悩みの方へ
後遺障害の申請方法
交通事故の被害者の方が治療を行っても完治しない場合,後遺障害の申請を行います。
後遺障害の申請の方法としては,事前認定という方法と被害者請求(16条請求)という方法の2つの方法があります。
事前認定という方法は,加害者加入の任意保険会社に依頼をして後遺障害申請手続きを行ってもらう方法です。
この方法の場合,加害者加入の任意保険会社が手続きをしてくれるので手間が省ける反面,被害者側の完全な味方となって対応してくれるかどうかという点につき,疑問が残ります。
一方,被害者請求(16条請求)という方法の場合,資料集めなど被害者の方が自ら行う必要があるため,手間がかかります。
また,身体の痛みが残っているにもかかわらず,後遺障害の申請手続きというやり慣れない手続きを行うことが,非常に大きなストレスとなってしまうことも考えられます。
そこで,弁護士に依頼して被害者請求(16条請求)を行うことを検討することとなります。
なお,被害者請求の方法は次のとおりです。
まず,事故証明書を入手して,加害者加入の自賠責保険会社を確認します。
各自賠責保険会社のホームページにある窓口に電話をして,被害者請求に必要な申請セットを郵便で送ってもらいます。
申請セットが届けば,その中に,被害者請求(16条請求)の方法を説明した冊子が入っているので,その説明に従って必要書類を集めて,申請手続きを行っていきます。
くびの痛みに関する後遺障害について
交通事故被害者の後遺障害の中で多いものとして,くびの痛みに関する後遺障害というものがあります。
くびに痛みが残った場合に,どのような後遺障害が認定されるのでしょうか。
よくあるパターンとして,むちうち症後の首の痛みの後遺障害として,12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」と14級9号「局部に神経症状を残すもの」が挙げられます。
この2つの等級の表現上の違いは「頑固な」がついているかついていないかですが,痛みがすごく強いから「頑固な」ものと評価されるわけではありません。
現在の自賠責保険の認定実務においては,12級は「障害の存在が医学的(ないしは他覚的)に証明できるもの」であり,14級は「障害の存在が医学的に説明可能なもの」という考え方がとられています。
このように,「頑固な」という文字どおりの文言からは読み取れない考えに基づいて判断されているため,注意が必要です。
腰の痛み関する後遺障害について
交通事故被害者の後遺障害の中で,くびの痛みに並んで多いものとして,腰の痛みに関する後遺障害があります。
腰の痛みに関する後遺障害についても,くびの痛みと同様,「局部に神経症状を残すもの(14級)」「局部に頑固な神経症状を残すもの(12級)」という後遺障害が問題とされます。
その他に,腰に関しては,腰椎の圧迫骨折による痛みという場合も存在します。
腰椎の圧迫骨折に関しては,脊柱の変形障害という後遺障害で評価され,変形障害の後遺障害等級が,上述の14級あるいは12級を上回るため,変形障害の等級の中に含んで判断されます。
具体的には,腰椎の圧迫骨折により脊柱の変形障害が認められ,11級7号が認定されている場合には,その圧迫骨折した部分に痛みが残存していても,別途12級あるいは14級が認定されるわけではなく,11級7号に包含されることになります。